プロの真剣勝負
プロの真剣勝負と言えば、その種類を問わずスーパープレイや頭脳プレイの応
酬で観る者が手に汗握るやり取りが行われるものである。
以前、ボーっとテレビを見ていたときのこと。
テレビではプロの棋士達が真剣勝負。
勝負は既に中盤。今後の体制を左右する重要な局面だ。
そこで、先手の棋士が持ち駒から歩を持ち出し、後手の急所を抉る様な一手を
打つ。
後手も、打たれた瞬間、「あちゃー」って顔をしてる。この一手で体制が決ま
ったようなそんな一手だった。
僕は後手の棋士が次にどんな手を打つのか固唾を飲んで見守る。
後手の棋士も、如何にして現在の状況を打破するか真剣に悩んでいる。
盤上を見つめ頭を悩ませる後手の棋士。してやったりの先手の棋士。ただ、時
間を読み上げるお姉さんの声のみが時が過ぎていくのを教えてくれる。
しばらく悩んでいた後手が、ふと何かに気付く。なんだ?打開策が見つかった
のか???
ぶっちゃけ、少々将棋をたしなむ程度の僕では打開策は見つからない、僕は後
手が次にどんな行動に出るのか、早く答えを知りたくて待ち遠しかった。
そして、ついに後手が行動に移る。
盤上をなんの迷いも無く手を動かしていく。そしてある一点でその手が止まる。
後手:「二歩ですよ。」
先手:「!!」
いや、二歩って。
そりゃ無いよ。二歩って。
あんた、仮にもプロですやん。うちらが辿り着けない高みにいるんじゃないん
ですのん?
もう、今後の体制を左右するどころか、うっかり勝負終わっちゃったやん。